村上隆の例のニュースについて

賞味期限切れかけの話。裏日記より編集、転載。

Bing

現代美術家ルイ・ヴィトンのデザインなどで知られる村上隆さん(44)が、自らのデザインと類似したキャラクターを勝手に使用され著作権を侵害されたとして、大手子供服メーカーの「ナルミヤ・インターナショナル」(東京都港区)に損害賠償などを求めた訴訟は24日、東京地裁で和解が成立した。ナルミヤ側が遺憾の意を表し、数千万円の和解金を支払う。

また
http://www.kaikaikiki.co.jp/news/list/murakamis_lawsuit/

参照。

どっちもおなじミッキーもどきじゃん!みたいなツッコミはネットのあちこちで散見しましたが、一時期村上隆の提唱したコンセプト「スーパーフラット」をバックアップした形になっていた東浩紀さんもこのニュースについては批判的なスタンスでコメントされていました。

http://www.hirokiazuma.com/archives/000214.html

まとめると、今回の行為はオタクをネタにしつつ市場と美術の関係をかろやかに行き来することで成立していた(と東さんが思っていた)村上のアートとしてのコンセプトが揺らぐことになってしまうので残念、という内容。

主張的には理解できますが、僕はじつはこのニュースの意味って、単に村上がもうアートの舞台として日本に関心がなくなったってことなんじゃないかな、と思いました。日本なんてまともに現代美術をコレクションする美術館もなく、作品を買ってくれる大きな市場もなく、村上にとって利用できる言説が東浩紀しかなかったわけで、ある程度軌道に乗ったからこれからはアートとしての評価はもう海外に任せる、という判断を下したということなんじゃなかろうかと。つまりもう東さんも村上が想定する観客外。

実際、村上にしてみればナルミヤ相手に本気で美術として対応するかどうかなんてMOMAに作品を展示するかしないか、の問題に比べればどうでもいいんじゃないかなあ。


まあ基本的にどうでもいい話なんですけれど。