Gary Hume

Gary Hume at Matthew Marks, NYC (May 2009)

Matthew Marks Galleryの展覧会ページ
http://www.matthewmarks.com/index.php?n=2&c=7&e=464&l=
Gary Hume Interview

ギャリー・ヒュームの意義って状況的なものが大きかったかも知れない。
ゲルハルト・リヒターが絵画的には話題と学習の中心だった頃、美術手帖でその存在を知ったヒュームの印象は、あっけらかん、というか「今の絵画をかくこと」にこんな簡単な答えがあったのか、という驚きだった。リヒターやポルケやタイマンスがその生い立ちやらなんやらのバックボーン含みでみられていたことに対し、あるいはその特殊な技術の側面からみられていたことに対し、ヒュームのそれは重さや物語や技巧から無縁なところで成り立ち、かつ魅力的にみえていた。
なにしろ自分からすればリヒターらは「遠い世界の素晴らしい絵画」だった。すごいけど、決してまねのできないもの。到達するには自分に足りないものが多いことを実感させられるもの。
比して、ヒュームの絵は簡単に描けないけれど到達の可能性を感じさせてくれるものだ。自分の育った文化的環境から無理をせず、「見る」ことを鍛えることであたらしい絵画に至ることができるという、そんなモデルを体現していたように思う。