やまぐちアーティスト支援事業 末永史尚 個展『かげり』

http://www.aiav.jp/programs/2011/suenaga/
会場:秋吉台国際芸術村ホール
会期2012年2月11日(土)、12日(日) 10:00-17:00
主催 一般財団法人山口県文化振興財団 秋吉台国際芸術村
後援 山口県山口県教育委員会美祢市美祢市教育委員会

同時開催:2012年2月11日(土)「trans_2011-2012 レジデンス・アーティスト オープンスタジオ」レヘマ・チャチャゲ、 アンナ・ストランド、 津田道子



秋吉台国際芸術村の音楽ホールは、ステージ/客席のヒエラルキーを無くし、どの場所でもステージに、あるいは客席になりうるという、近代以後の音楽演奏に対応した、稀有なコンセプトのもとにつくられたホールです。その形態は設計者の磯崎新によれば、秋吉台の大地の下に広がる秋芳洞をイメージした、ともあります。
残念ながらその画期的な設計を生かしきった音楽プログラムはこけら落としのノーノ「プロメテオ」の公演の時のみで、その後は普通の音楽コンサートの構造で使われているようです。
今回、ぼくがこの音楽ホールを展覧会会場に選んだのは、この興味深いコンサートホールに絵描きとして一時的に手を加えることで、もう一度その特性をあらわにしてみたい、あるいは別の活かし方で使ってみたいと思った、という好奇心に拠るもの以外の何ものでもありません。
展示場所によって形態を変えられるペインティングシリーズ「タングラム ペインティング」を中心に、空間に絵を描くように作品を展示したいと思っています。
また、ノーノ作品のキーワードの一つであり、ホールに思想が反映されている「多中心」に呼応するものとして、作品への導入テキストを用意しつつ、それが一人の執筆者によって全体を見渡されるのではなく、私が語るのでもなく、作品に対し異なる視点/記述/解釈が並ぶ状態を作ってみることにしました。
ぼくの展示を何度か、あるいは何度も目にしてくれている執筆者にシリーズごとに観賞導入となるテキストの執筆を依頼しました。石崎尚さん、成相肇さん、森啓輔さんに執筆していただきつつ、2007年にMMJ誌に中村麗さんに執筆していただいたテキストを加え、会場に来ていただいた方に読んでいただけるようにする予定です。
この試みが、このホールのユニークさを表現しつつ、絵画展示のあり方に一つ要素を加えるものになればと考えています。