グループ展「Director’s Eye #3 長谷川 新 「OBJECTS IN MIRROR ARE CLOSER THAN THEY APPEAR」」

個展と同日より開催、しかも大阪で、のため展示もオープニングも行けないままの参加ですが、長谷川新さんのキュレーションする展覧会に参加します。タングラムペインティング数点をお送りし、長谷川さんに自由に展示してもらうことになっています。もともと「所有者/展示者によって自由に組み替えることのできる絵画」ですので、ぼくが手を下さない状態であの作品たちがどう作用していくのか、とても楽しみにしています。



日時;2015年1月10日(土)〜3月1日(日) 木曜~日曜 12:00~19:00
会場:the three konohana(大阪)
http://thethree.net/
出品:荒木 悠、上田 良、折原 ナナナ、柄澤 健介、小濱 史雄、佐伯 慎亮、末永 史尚

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《関連イベント》
会場:PORT http://shikanjima-port.jp/
大阪市此花区四貫島1-6-6 [四貫島中央通商店街内]
(the three konohanaより徒歩5分)
・レセプション
1 月10 日(土)19:00~21:00
入場無料(ドリンクキャッシュオン制)
・めりカフェ「テーマ:抹消の痕跡(仮)」
特別講師:古川萌
2 月1 日(日)18:00~20:00
入場料500円+ワンドリンク注文制
・荒木悠作品上映会
ゲスト:菅原伸也
2 月14 日(土)18:00~21:00
入場料500円
・「SAVE THE CLUB NOON」上映会
ゲスト:宮本杜朗監督
2 月15 日(日)18:00~21:00
入場料500円
http://savetheclubnoon.com/

OBJECTS IN MIRROR ARE CLOSER THAN THEY APPEAR
Curator:Arata Hasegawa
「視野の縁でなにが起きているかを知っているだけでは、我慢できなくなりかける。目にはいる部屋の光景はつねに一分の隙もなく、それがまた衝動を煽った。ここまで来ると強迫観念だ--どんなに早く首をまわしても、まわりで起きていることはこれっぽっちもわからない…。」
グレッグ・イーガン順列都市
「彼は目を上げて、その翼あるものを見た。見たと言っても両の目にあふれていた玉葱の涙を通してで、したがって数瞬のあいだ突っ立って見つめていたのだった、 なぜならば涙のために奇妙なレンズを通して見たみたいにそれの輪郭がふくれ歪んでいたからで、睫毛が乾くようにと目をすがめた、そしてあらためて見つめた。」
アントニオ・タブッキ『ベアト・アンジェリコの翼あるもの』
「舞台の上では行為が演じられるか、それとも、おこなわれたことが報告されるかの、いずれかである。」
ホラーティウス『詩論』

タイトルとなっている英文は、アメリカ、カナダ、それとインドを走る乗用車のサイドミラーについている警句だ。
「鏡ごしに見えるものは、見かけより近くにある」
そのことばには確かにソリッドな感覚がある。速度を伴っている。
ちょっとした重力も感じることができる。
生死に肉薄した、物質的でミニマルな警句。
そこから、「鏡ごしに」という部分を削り落とす。
本展は7名の作家の、展覧会だ。
荒木悠、上田良、折原ナナナ、柄澤健介、小濱史雄、佐伯慎亮、末永史尚。
僕はここで頻出する修辞を用いることを執拗に拒む。
よくある修辞1。「彼らは一見すると全く異なる作風です。しかし−−」
よくある修辞2。「−−という素材/メディウム/ジャンルの独自性を追求し」
私たちは互いの「近さ」をもっと許容しても良いのではないか。
あるいは今観ているそれが別の似たなにかであり得ることについて、考えを巡らせてみることができるのではないか。
だからこの展覧会は、「近さ」について考えられるようにした。
作品は伸びたり縮んだりするし、展覧会ですべてを見せる必要もない。
もとよりそれは、絶えず遅れている。
展覧会は鑑賞者の少し後方を走っている。(行き先は異なれど少なくとも今は同一方向に)
鑑賞者は鏡ごしにそれを見る。
それは見かけよりもずっと、近くにある。