10代のころ絵を描く際、色についての勉強をしていたとき参考にしていたのはヨハネス・イッテンの色彩論の本だった。
明度と色相の関係や補色をずらしてつかうときの見え方についてなど参考にしていろいろ試し、技術も考え方も広がったのだが、弊害もあった。イッテンは色を理念的にとらえてわかりやすく色相表等で把握していたが、物質としての絵画は理念通りに色を発することはできない。
たとえば「赤みも黄色みもない純粋な青色絵の具」は存在しない。青系統のウルトラマリンブルーやコバルトブルーをつかってどうにかするしかない。
また、絵の具は物質なので、顔料によって性質が異なる。
色の輝きは絵の具のつや、透明度などでまったくちがってくる。
そのころは制作時に言語が先行していたので、そこに気付かないで頭でくみたてて作業して結果をみず、ひどい制作を繰り返していた気がする。
もっとじぶんがいま作っているものをしっかりみていないといけない、という戒めはいまの自分にも言える。
ちいさな下絵から大きな絵を描こうとするときにこの手の問題は生じやすい。