思い出しついで

中村一美さんについて
なにしろ絵に関することではしょっちゅう怒っている現場を目撃していたので、僕が大学2年のときにはじめて非常勤で来ていた最初の頃はいつもちょっとびくびくしながら話しかけたりしたものでした(そういえば昨日書いた作品のサイズについてのことが、ぼくが造形大の講義中に最初に中村さんに訊いた質問です)。
大学でみていた教育者としての中村さんですが、中村さんの書く文章は正直難解で読む人に親切とはいえないと思うけれど、なにかの際にふっと説明することばはとても適切で、記憶に残ります。ぼくがよく覚えているのは、学生の「作品を作ることはなにか」という漠然とした問いに対して、
「一般的なプラモデルは設計者のつくった通りに組み立てるだけだけど、美術の作品というのは自分で組み立て方も作ってしまうプラモデルのようなもの。そこが楽しい」
と答えていたこと。さすがだなあ、と思ったものです。
もちろん講評会なんかで腑に落ちないこともあったけれど、トータルで考えると学生に益するところは大きかったと思います。