第3回府中ビエンナーレ

http://www.art.city.fuchu.tokyo.jp/Biennial3.html
正直サブタイトルの「美と価値」云々は展示からはよくわかりませんでした。まあもともとテーマをもとに作家に制作させる展覧会でもないようですが。

展示ははっきりとわけられた展示室でおのおのが個展を開いているような構成。全体的に展示室の広さに対して作品が多すぎる印象。はっきりというと見づらい。結果、いつもはもっと良く見えたのに今回は…という人も。


そういった意味で展示が巧い、と思ったのは豊嶋康子さんでした。ガラスケースという「美術館」というハコを強く意識させる装置を逆手に取ってこれまでの制作の軌跡を作品間の時間差を感じさせずに併置/等質化していて、なおかつ作品を手仕事的な良し悪しの見方から切り離すことにも成功しています。
また、ぼくが豊嶋さんの作品を面白いな、と思ったのは、展示物は基本的には本人が反応している事象(証券、修復など)を理解していく営為のなかでの副産物でしかないのですが、モティーフの選択のユニークさもあってか、展示物が決して「はじめから結果のあること」の図示に留まっていないことです。それぞれの展示から豊嶋さんの興味を思ったポイントが感受できる、というか、対象を追うデッサンを見ているような感覚があるような気がしました。