六本木建築評

六本木ヒルズは論外。ペラペラの銀の幕で包まれたソーセージ。80年代的六本木を表象していると言えばそうかも。
ミッドタウン。分業で出来ているの全体としての見通しの悪さやプランの美しさのなさはあるけれど、ただの箱にもせず、恥ずかしいデコにもしない、でも高級感を、というお題に対しての回答としてはそこそこクオリティは高いと思う(間違うとヒルズになる)。建築にそれ以上の野心が感じられないのはつまんないけど、商業施設ってのはそういうものだと思えば仕方ないのかも。
国立新美術館は建築としては良いんじゃないか。以前見たクアラルンプールの空港もそうだったけど、黒川紀章の広大な内部空間を魅力的に見せる技は個人的には好きなのだ。エントランスホールの中を歩いていると、一瞬一瞬に彫刻の中に入っているかのような造型体験の質がある。仕上げも悪くない。欠点は、それに比すると展示室が安っぽくみえてしまうことと、ファサードにこれといったビューポイントがないこと。雑誌「新建築」の表紙に新美術館が載っていたが、見事に内部のコーン下の空間の写真だった。