冨井大裕個展「企画展=収蔵展」プチレポ





アーカスのある「もりや学びの里」は元小学校。トミイくんの作品設置場所は「もりや学びの里」のB棟でアーカスのとなりの棟。「もりや学びの里」で調理室や音楽室などが小学校の設備のまま利用中。トミイ作品はその利用されている教室の中や廊下に、ある場所は真正面にどかりと、ある場所は用意された作品配置図をもとに注意して探さないと気がつかないくらいにささやかに設置されています。その数19点。プレスリリースに反して実は旧作中心で、ちょっとした回顧展の態です。
作品素材が設置場所と微妙に関連があったりなかったりするのですが、基本的にはホワイトキューブと違ってトミイくんが普段使っている素材がそこにあることが不自然でないシチュエーションなのですね。つまり物量の過少にかかわらず日常品を持ち込めばなんでもある程度展示として成立してしまうホワイトキューブの力がない分、作品/非作品が厳しく問われる形になります。
僕としては今回の展示は旧作中心だったのが良かったのかな、とも思いました。上記文脈に対して、その場所に手を加えて異化させる、みたいな安易な解決は当然とらず、ポータブルな作品を持ちこんだ結果それぞれの作品が自立していること、それはトミイ作品が人に物のかたちを再認識させるためにあるのではなく、あくまでも今なし得るべき形造りの可能性を求めている彫刻家の業によるものでありることを再確認できたからだと思います。

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