例の模倣写真の件

廃虚写真「模倣された」 プロ写真家が同業者を提訴
 朽ち果てた建物などをテーマにした「廃虚写真」をめぐり、写真家の丸田祥三氏(44)が、写真を模倣されたとして同業の小林伸一郎氏(52)を相手取り、写真集の差し止めや損害賠償などを求める訴えを9日、東京地裁に起こした。 

 訴状によると、丸田氏は平成4年以降、個展や写真集などで廃虚や廃線などの写真を公表しているが、小林氏の写真集から被写体や構図が似た写真が散見されると主張。旧丸山変電所(群馬県)や足尾銅山跡地(栃木県)の周辺建物など5点について、「(小林氏が)作品をまねて撮影したのは明らか」などとしている。

 会見した丸田氏は、廃虚の発掘には多大な労力があると訴え、「モノ作りする人を踏みつけにしている。偽の作品は二度と出さないでほしい」と話した。

 小林氏は代理人を通じて「何万枚の写真の一部の数枚の被写体がたまたま共通するだけで事実無根だ。(訴えは)先に撮影した被写体をほかの写真家が撮影してはならないというに等しい。断固として争う」とのコメントを発表した。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090109/trl0901091929005-n1.htm

はてなブックマークのコメントを見ていると、松本/槙原裁判の影響かパクられた側が訴えを起こすとネットではまるで守銭奴であるかのように叩かれる風潮ができてしまったように見えるのがなんとも微妙。松本零士、ホントに罪深いよ。で「被写体の独占云々」を懸念しているコメントがあるが、親告罪なので悪質に稼いでいるものだけが問題になるだけなんじゃないの?濫用したら訴えた側が総スカンくらうだけじゃないか。
自分がパクられた側に立って考えれば、別に模倣されるだけだったら気分を害してもスルーするだけだと思うんだけど、後追いの方が何かのはずみに受賞とかしちゃって、そっちの評価が定着してしまうと逆に模倣者扱いされたりするので切実な問題ですよ。商業的な世界ではどっちが先にやったとかまで丁寧にみてくれないもの。その場合に抑止する手段が著作権侵害で訴えるしかなかった、という話なのでは。
本来、ある業界があったとして、そこでは作り手の倫理と業界内の評判でパクリづらいように一定のバイアスがかかっているものだと思うんだけどね。マンガでトレースがばれたら連載なくなっちゃう、みたいな自浄作用というか。
ただ、表現の業界というのが、美術でいえば公募展/現代アートみたいに文脈のことなる幾つかのセクションがあったりするので、そこが異なれば何やってもOK、みたいな空気があるのかも知れない。写真も芸術/商業、みたいな幾つかのセクションがあったりするから。