ペパクラ展 伊藤誠、上田良、小野冬黃、末永史尚、冨井大裕、山口麻加

名古屋のhibit (See Saw gallery 併設スペース)にて、私と副田一穂さんの共同企画でペーパークラフト略してペパクラにアーティストが取り組んだ作品による展覧会「ペパクラ展 伊藤誠、上田良、小野冬黃、末永史尚、冨井大裕、山口麻加」を開催します。
そもそもは2014年に愛知県美術館のARCH展で担当していただいていた副田さんが木村定三コレクションの図録に自ら設計したペパクラを付属させたほどのペパクラ好きであたことからはじまります。その図録を見て私も興味を持ち「アーティストによるペパクラ」で展示をしてみたい、と副田さんにお話していたのです。とはいえなかなか実現には至らず時間が経っていたのですが、そうこうしているうちに昨年See Saw galleryにhibitという実験的な企画を許容してくれるスペースができました。ここならば、と思い持ち込んでようやく実現したのが本企画です。
私自身にとってはブルーノ・ムナーリの携帯できる彫刻シリーズ「旅する彫刻」への関心の上にこの企画があったりします。また小学生の頃は小学館の◯年生の付録を楽しんでいた世代で、ひょっとしたら造形の原体験はここにあったのかも、と思ってもいます。
既にペパクラ作品は出来上がっていますが、各アーティストがそれぞれの作品性をこの媒体を活かしたユニークなものが集まりました。
本展にあたり執筆される副田さんのテキストもりぼんの付録、抽象彫刻、キュビスムの彫刻をペパクラ性という軸で読む興味深いものになりそうです。
たかがペパクラと侮るなかれ。充実した企画となりましたので、是非ご来場、ご購入、組み立てて楽しんでいただけたらと思います。


参加:伊藤誠、上田良、小野冬黃、末永史尚、冨井大裕、山口麻加
企画:副田一穂(愛知県美術館学芸員)+末永史尚
会場:hibit (See Saw gallery 併設スペース)愛知県名古屋市瑞穂区密柑山町2-29
会期:2017年5月6日(土)~6月24日(土)(See Saw galleryでは小野冬黃展を開催)
トーク:「可展面の造形」副田一穂+末永史尚 5月6日(土)18:00-
テキスト:副田一穂

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 ペーパークラフト(ペパクラ)とは、一枚の紙にあらかじめ印刷されたいくつかのパーツを切り出し、糊で貼り合わせて立体的に組み上げるものです。江戸から明治・大正にかけて流行した立版古と呼ばれる錦絵の一種や、昭和期の子ども向け雑誌の付録など、日本でも古くから親しまれてきたこの遊びは、今や3Dソフト等を用いて誰もが容易に複雑なものをデザインできるようになったこともあり、企業の販促ツールなどを含めインターネット上に無数のモデルが公開されるなど、現在でも世界中の人々を魅了し続けています。
 本展では、ペパクラが印刷された平面と組み上げられた立体という二つの特徴をも併せ持っている点に注目しながら、普段は絵画、彫刻、版画、写真といったメディアに取り組む6名のアーティストが、ペパクラによるオリジナル作品をデザイン・販売します。簡単に自作して所有できるマルチプルな彫刻というペパクラならではの魅力を、それぞれのアーティストの視点を通じて、実際に手を動かしながらお楽しみください。


www.seesaw-gallery.com