引きこもり美術情報ジャンキーのための美術館ポッドキャストのすすめ

労働時は往復2時間電車にのるので日々の生活に欠かせなくなってきているポッドキャスト
僕のまわりではまだまだポッドキャストの話をしようとしても「何それ?」みたいなリアクションが帰ってくる状況で基本的に日本では一般化はまだまだなんかな、という実感。だけど、欧米での普及は進んでいるようで、美術の世界にもポッドキャストの波はきてます。確実に。
で、まずは以下のサイト。世界の美術館のポッドキャストのリンク集なのですが、ここをぱっとみただけで主要な美術館で配信していないところはまずないところまできているのがわかっていただけるはず。MoMAなんてPS1を含めると8本くらい番組があります。

http://www.wave.co.nz/~jollyroger/GM2/podcasts.htm

内容は美術館そのもののガイドから、展覧会のガイド(音声ガイドそのままとか)、レクチャーの録音、DJミックス?までさざま。聴いてみたところだけざっと紹介すると、

海外篇

基本はコレクションのオーディオガイド。一般用、子供用、ティーンエイジャー用に別れていつつ、一般用はさらに英仏独伊日韓スペイン中8カ国語分ある。itunesで聴くとアートワークに該当作品の写真が表示される芸の細かさ。連続して聴いてるだけで展示を観た気に。また、Think Modern: Adult and Academic Programsはギャラリートークやレクチャーの記録。ジェフ・ウォールが自作について語っちゃってたりも。

MoMA系列のPS1はArt Radio WPS1というネットラジオを運営。その5つの番組がそのままポッドキャストでも聴ける。
アートフェアのレポートやインタビュー、DJミックスも。個人的に嬉しいリチャード・タトルのトークや、なんとアフリカ・バンバータ様のインタビューなんてのも。

TATEのイベント記録。講演、ターナー賞候補作家のトーク、展覧会出品アーティストのトークなど。ギルバート&ジョージ、ダン・グレアムもしゃべってます。あと、ポッドキャスト化される前はストリーミングで公開していたらしく、今でも視聴できます。YBAのアーティストはもちろん、OVALやクリスチャン・マークレーなんかの音楽系のアーティストもイベントやってたり。あとTATEでは近代以降の絵画にフォーカスしたMopdern Paint Podcastも。

RSSを吐いていないけれど、オーディオガイドやアーティストトークをダウンロード可。

解説レクチャー中心。個人的なポイントは、ブライス・マーデンが"cold moutain"の前で自作解説しているビデオ。素直に見れて嬉しい。

日本篇

日本でもまだ数は少ないですが配信しているところがあるので紹介。

出品作家や学芸員など関係者へのインタビュー。雰囲気が固いかな。イントロもちょっとはずかしいかんじ。でも興味深いコンテンツも。長谷川裕子氏、美術出版社社長の大下氏、大竹伸朗氏、中村宏氏など。

主に出品作家へのインタビュー。配信数が少ないのと、15分くらいと短いのが残念。長大作氏、ジム・オルーク(!)など。あとインタビュアーが知っている人なのでちょっとむずがゆい。

水戸芸術館ははもともと美術館でおこなったレクチャーをweb上でストリーミング配信していて、記録を公開することに積極的な施設でした。昨年からポッドキャストでの配信も開始。過去にストリーミング配信していたものもいくつかをポッドキャストで配信しなおしています。しかも動画。
ただ、ためしにずいぶん昔のO JUNさんのレクチャーを落として見てみようとしたら、恐ろしく荒い画質と聞き取れない音声と微妙なカメラ位置で見れたもんじゃなく。ストリーミングのコンテンツをそのままうつしたんでしょうけど、ちょっと。最近のコンテンツも画像はましになってたけど撮影はやっぱダメ。何より録音がひどくて聴くにたえない音質。もったいない。佐藤卓さんとか。

レクチャーの記録。静止画をうまく使って、動画っぽくしつつ落としやすくしてあってすばらしい。配信数が少ないのが残念。あと去年の9月配信分が最新なのが不安。久保田晃弘氏、エキソニモなど。

日本篇感想

全体的にもっとレクチャーの記録なんかを公開する方向になってほしいなあ、と思います。良いレクチャーの記録を全国の美術館は沢山持っているはずなのできちんと公開して欲しい。とくに公立は税金使ってんだからさ!。ポッドキャスト用にコンテンツを収録しているから配信数も少ないわけだし、それを思えばレクチャーの記録公開なんて外注しなくても講演者の許可を取ってしまえば配信出来るはずなんだけどなあ。

で、レクチャーのWEB公開に関して国内展示施設最強なのがICC

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもとで、講演記録、パフォーマンス記録、コンサートの記録をアーカイブ。ストリーミングやダウンロードで視聴できます。RSS配信していないのでポッドキャスティングではないけれど、結構な頻度で更新されています。
あ ポッドキャストポッドキャストであるんですけどね。

参考記事:http://www.museumstation.net/archives/technology/06/07/19-093531.php