「山内龍雄展」、「戸谷成雄 彫刻」、リチャード・リザック「セッティング」

西八王子のギャラリーいちょうの木で「山内龍雄展」を見ました。
山内龍雄さんは1950年生まれ。1970年代に独学で絵を描き始め、その後画商の須藤一實さんと共に活動し、2013年にお亡くなりになりました。山内さんの画業を私は全く存じ上げていなかったのですが、東京造形大で同じ授業を担当している沢山遼さんが教えてくださって興味を持って行った次第です。
作品は完全な抽象で、制作者の想念をもとにしているように見えます。非対称なのですが空間はあります。独特なのはその絵のテクスチャで、通常の「描く」「塗る」といった工程が想像できない、けれど人の手を感じるのです。
在廊されていた須藤さんによれば乗せた絵の具を削っているのだとか。画布は薄めの麻布ですが、布目に入った絵の具以外は布地が見えていて、本当に微量の絵の具のコントロールでこの震える空間を作りだしていることになります。
多くの絵画を見てきたつもりですが、類例のない絵肌とその探究の厚みに感服しました。

会場:ギャラリーいちょうの木
会期:2023年4月22日(土) ~5月14日(日)
時間:12:00〜18:00
https://ichonokigallery.com/yamauchitatsuo/


埼玉県立近代美術館で「戸谷成雄 彫刻」展を見ました。戸谷成雄さんは1947年生まれの彫刻家。1970年代半ばから発表をはじめ、現在も精力的に制作、発表を続けてらっしゃいます。私も学生時代から戸谷さんの、素材となる木の表面をチェーン・ソーで溝をつけて彫刻していくスタイルの作品を驚きを持って見ていました。





本展は様々なシリーズの作品を概観できる貴重な機会でした。ただ、どれもスケールが大きいので点数に限りがあります。この倍くらいのスペースでもっとみてみたい気持ちもあります。

会場:埼玉県立近代美術館
会期:2023年2月25日(土) ~ 5月14日(日)


大塚のミサコ&ローゼンでリチャード・リザック「セッティング」展を見ました。リチャード・リザックさんは1950年生まれ、シカゴ在住のアーティストです。






どこか日常的な空間とのつながりを感じさせる形態や色彩を用いた抽象的な彫刻です。穏やかな作品ですが、作品の高さや他の作品との距離、作品と鑑賞者の出会い方などによって結界のように張り詰めた、美しい空間が生じていました。

会場:ミサコ&ローゼン
会期: 2023年4月9日(日)- 5月14日(日)


偶然ですけど、今回見た3名はほぼ同世代でしたね。