日本国憲法展 2024 Part2 展示風景

日本国憲法展 2024 Part2の初日にオープニングレセプションに参加しました。
Part1のレセプション同様、条文の読み上げと作品紹介の時間があり、出席していたアーティストからは直接解説を聞くこともできました。
また、本会場には出品作品に加えて、本展の元となった書籍「日本国憲法」(TAC出版局、2019年)が参照した「日本国憲法: 一家に一冊 読みやすい (写楽ブックス) |」(小学館、1982年)の編集者である故・島本修二さんが出版当時に出演していたテレビ映像を編集したものも展示されています。

以下、Part1に続き後から調べた情報をまとめました。



加藤康司《父を語ることは世界を語ることかもしれない》
2021
映像インスタレーション(シングルチャンネルビデオ、絵画、観葉植物)
サイズ可変
4分55秒

第九十七条
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

米軍基地に関心を寄せてからしばらく経ち、なぜこのようなテーマに至ったのか、考えてみた。そこでふと、若い頃にアメリカで生活をしていた父親という存在が見えてきた。どこにでもいるようで、どこにでもいない。世界でたった一人の、父と僕にまつわる物語。
加藤康司 [父を語ることは、世界を語ることかもしれない] | blanClass ブランクラス

加藤 康司 Koji Kato
アーティストとその父親の関係を扱った作品ですが、父をアメリカ、子を日本に重ねてみることもできる、複層性のある作品です。



真島直子《呪術師》
2007
ミクストメディア
h92×w40×d65cm

第十九条
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。



真島直子《脳内麻薬》
2015
紙に鉛筆
114×68 cm

第二十一条
1. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2. 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

真島 直子 Naoko Majima
略歴
1944 愛知県生まれ
1968 東京藝術大学美術学部油画科卒業

真島 直子 | hino gallery



小沢剛《ベジタブル・ウェポン―カトゴ(野菜とバナナの煮物)-1 /ホイマ、ウガンダ
2008
タイプCプリント
156×113 ㎝

第九条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

書籍「日本国憲法」でもこの組み合わせでした。

ベジタブル・ウェポン / Vegetable Weapon
数々の国や地域をめぐり、野菜などの食材でできた銃を手にした女性たちを撮影する、ポートレート写真のシリーズである。おもちゃのような銃は、モデルとなった地元の女性が選んだ各地の地元料理の食材を組み合わせて作られている。撮影した後は、銃を解体して食材を料理し、プロジェクトの参加者で囲んで食べる。戦闘場面のパロディーは一転し、食事をともにするという日常性と交流の場面へと展開する。このプロジェクトを当初はアジアの国々で、やがてアメリカ、ヨーロッパ、アフリカ大陸と様々な地域で行ってきた。このユーモアに満ちた武装解除のプロセスを、世界各地の人々とコミュニケーションを築き、様々な食文化を取り込みながら行い続けている。人々が互いに敵対し、戦うことの愚かさを静かに示唆する、平和を問いかけるシリーズといえる。
ベジタブル・ウェポン / Vegetable Weapon - ozawatsuyoshi.net



秋山祐徳太子東京都知事選 新宿》
1979(2024)
22.2 x 33.5 cm
ゼラチン・シルバー・プリント(撮影:羽永光利、協力:羽永太朗、ぎゃらり壷中天)

第十五条
1. 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2. すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3. 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4. すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

独創的なブリキ彫刻や、グリコのランナーを模した「ダリコ」パフォーマンスで知られる美術家・秋山祐徳太子(1935-2020)は、政治のポップ・アート化を目指して1975年と79年の2度にわたり、東京都知事選に立候補します。街頭や立合演説会場、テレビ・ラジオの政見送、560万部の選挙公報、1万2千箇所のポスター掲示板、そのすべてを芸術行為の現場とし、当落を超越したひたむきな選挙活動は人々の脳裏に鮮烈な印象を残しました。このときの選挙ポスターは現在、芸術作品として諸美術館に収蔵されています。
秋山祐徳太子と東京都知事選挙 – Gallery 58



石井麻希《Spirit》
2024
アクリル板、鉄
80 x 43 x 9.5 cm
《we all live together》
2024
アクリル板、鉄
70×80×3 cm


《3.33333333....x3 (犬編)》
2024
マガジン
21cm×29 cm
《3.33333333....x3 (水族館編)》
2024
マガジン
21cm×29 cm

第十四条
1. すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2. 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。
3. 栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

石井はベルリンを拠点に活動するアーティスト。アイデンティティの不確実性やメディアなどとの関係性をテーマに映像やインスタレーション作品の発表を行っています。
本展では、石井が土地や存在、記憶の象徴として消費される"お土産"のもたらす感覚からのインスピレーションを受けたことを起点に、”みやげや(土産店)”の形を借りたインスタレーション作品を発表します。
作家自身がアイデンティティを模索するために臨んだヒーリングで見えた光と闇を包括した世界、またコロナ禍から始まった愛犬との生活で発見した人間を超えた生物たちとの共存への眼差しを、”みやげや”に投影した作品群が展開されます。
また、本展に向けて1年間にわたりリサーチをした、ベルリンの犬たちや水族館に生息する生き物たちへのインタビューや写真などを含むタブロイド作品「3.33333333…..x3」も同時発表します。
2024_ishiimaki


服部公太郎《Sacrifice》
2024
アクリル、オイルパステ
162×112 cm

第三十一条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

服部 公太郎 / KIMITARO HATTORI
2020年、服部公太郎、植田工、鈴木啓太、川島大幸、でアーティストコレクティブ《GAZO》を結成。
https://collectivegazo.com/

Profile
1977 岐阜県生まれ
2001 東京芸術大学美術学部卒業
2002 ベネトン奨学金プログラム[FABRICA(イタリア)]に留学
2005 東京芸術大学美術学部大学院修了
https://www.kimitarohattori.com/cv



ユアサエボシ《知者の要求》
2023
アクリル、キャンバス
65×91cm

第二十七条
1. すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2. 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3. 児童は、これを酷使してはならない。

無表情の少年が手に持った心臓を掲げながら走っている。知者は時に理不尽な要求をしてくる。
ユアサ エボシ | title《知者の要求》 size 65.2㎝×91㎝ acrylic on canvas 2023 Private collection 【解説】 無表情の少年が手に持った心臓を掲げながら走っている。知者は時に理不尽な要求をしてくる。 | Instagram



日本国憲法展 2024 Part2

会場:ミサシンギャラリー(東京都港区南麻布 3-9-11 パインコーストハイツ 1F)
https://www.misashin.com
会期:9月28日(土)―10月19日(土)
営業時間:火―土 12:00-19:00 休廊日:日・月・祝
参加作家:小沢剛、石井麻希、秋山祐徳太子、真島直子、真島直子、ユアサエボシ、服部公太郎、加藤康司