ギャラリーシマダ アーカイブの話

昨年度から、勤務先の東京造形大学の教育研究助成金という制度を利用して、『現代美術ギャラリー「ギャラリー・シマダ」の調査とアーカイブ作成』という研究を行っています。ギャラリー シマダは1984年に山口市に開廊し、のち、東京に移転、2004年まで活動していた現代美術のコマーシャル・ギャラリーです。トーマス・シュトゥルート、河原温、アラン・ジョンストン、ニエーレ・トローニ、白川昌生、竹岡雄二、ダン・グレアムなどなど内外で活躍する現代美術のアーティストの展示を行ってきました。しかし、僕は山口市出身なのですが、1984年はまだ10歳なので、当然知るわけもありません。山口で1年大学受験浪人していた時に現代美術に興味を持ったのは1993年。その頃にはギャラリー シマダは山口から東京に拠点を移していました。1994年に僕は上京しますが情報が入ってこないままで、2000年頃にようやく表参道のギャラリー シマダを訪問した程度でしか知らなかったのでした。意識しはじめたのは阿部良雄さんが白川昌生さんについて書いたテキストにその名前を見つけてからだったでしょうか。山口時代の画塾の先生から「オーナーさんは高校の先輩にあたる」「日本で多分最初にリヒターの作品を扱った」などなど耳にし、その活動に興味を持ち始めたのです。
このあたりのことを書き始めると終わらないので端折るとして。
その後、自分も山口で発表させていただくことによってオーナーだった嶋田さんにもお会いできるようになりました。先に書いたような、近くにあったはずだったのに見逃してしまっていたギャラリー・シマダの活動について、嶋田さんにインタビューを行って残すようなことが出来ないものかと考えて人づてに打診したところ、「閉廊時の資料が整理されないまま残っており、デジタル化を検討していた」「手伝ってくれる方を探していた」とのことだったのです。ちょうど僕も東京造形大学に着任し、助成金制度が活用できることを理解できたタイミングでしたので是非に、と申し出たという次第です。
しかしこれがちょうどコロナ禍と重なってしまい、本来であれば頻繁に山口まで行き来して調査したかったのですがそれは叶いませんでした。ひとまず大量のフィルムや紙資料等の貴重な資料をお預かりして、スキャンを外注したり、自分でスキャンしたり、被写体を特定したりといった作業を続けています。
(続く)