レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才

上野の東京都美術館で「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才」を観ました。シーレの作品点数は多くはないのでウィーン分離派とその中でのシーレを紹介する展覧会として構成されているような印象を受けました。シーレの作品も良いのですが、同時代の優れた作品と出会うことの出来る展覧会だと思います。
シーレは人を描く絵画の定型を壊した画家の1人なのだと思いました。彼の画面への人物の収め方、視点の設定、シワや骨の出っ張り、色彩の選択などは、いわゆる肖像画や物語画の人物像、美しいとされている姿とは異なっており、美術に登場する人物像からはノイズとして排除されてきたものだと思います。鑑賞者はそこに人の実像やエロティシズムを受け取ったのではないでしょうか。
シーレ以外では、下記が気になりました。
エルンスト・ストールの《湖畔の2人》。印象派的な点描を用いているけれど、筆触の密度が画家の意識の置き所を反映するかのように画面内で偏っていることに興味を持ちました。
オポルト・ブラウエンシュタイナー《藁束のある風景》。こちらも印象派的な点描が用いられているのですが、畑の部分は触覚的なテクスチャのために、遠景の部分はぼんやりとした色彩のために筆触が入っているように感じられました。
他にはコロマン・モーザーの作品が主題のとり方と処理の仕方が独特で目を惹きました。