コイズミアヤ「重なることについて」

藤沢にあるobi galleryでコイズミアヤ個展「重なることについて」を見ました。obi galleryは日本家屋の2部屋と離れの台形の展示空間と2つに別れています。本展は離れに展示された「重なる箱」シリーズを中心にしつつ、それぞれの空間でここ数年のコイズミさんの作品の展開を見ることができる構成になっていました。

「重なる箱」は、開いた箱に、板の厚み分のスリットを入れたまた別の開いた箱をだいたい5個くらい重ねていくことで作られた立体作品です。重ね合わされた箱は元の箱に接着されていないので、後からバラバラにすることができます。
コイズミさんのコメントによれば箱をつくることの着想は本を読む経験から得ているそうですが、この箱の重なりは人と人の関係、場と場の関係など、様々な境界の入り組んだ様子を示しているようにも見えてきます。




今回は壁に設置できるものを新たに制作されたとのことで、展示でも目線の高さに設置されています。これにより、真上から覗き込むように箱を見ることになり、鑑賞者のいる空間を上から眺めているかのような視点が生じているように感じました。


離れスペースの足元にある窓のふちに展示されている立体作品「monad」。ダイヤブロックを組んだだけで出来ています。コイズミさんのコメントではブロックの形そのものの美しさに触発されているとのこと。
たまたまですが、昨年現行のダイヤブロックの展示会を目にする機会がありました。ダイヤブロックは元々は自由度の高い可塑性のあるブロックキットだったのですが、少し前までLEGOを追随するようにキャラクターや建物など具体的なものを作るキットで販売していました。それが今は元の理念に戻って完成形を持たない基本セットのみの販売になったようです。
ただし、安全性への配慮から昔の角のエッジがたったものから微妙に丸みを帯びたものに変更されています。なので今の商品では、このコイズミさんの作品のような美しさは作れなくなってしまっているのです。完全に、余談ですけど。








コイズミアヤ「重なることについて」
会場: obi gallery
会期: 2023年12月15日(金) – 25日(月) 
2024年1月5日(金) – 15日(月)
10:00 – 19:00
開廊 : 金,土,日,月
予約制 : 火,水
休廊 : 木

http://obi-gallery.com/aya_coizumi/