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木場の東京都現代美術館へ。カルティエをスルーして常設展示。
http://www.mot-art-museum.jp/jyosetu/
「特集展示2 中村一美」を観に。
4月にギャラリーでたまたまお会いした中村一美さんに「レクチャーもあるから」とチケットをいただいていたので行かねば、と思っていたのだけどレクチャーも行けず、結局観に行くのも会期ぎりぎりになってしまった。(明日まで)
常設展示の中の1コーナーとはいえもともと広い都現美。4mの大作含む10点弱の展示は見応えじゅうぶん。

僕は基本的に90年代アートシーン育ちで、また中村一美さんが大学に非常勤講師として来られていて学生時代から教務補佐時代まで直接的に接する機会もあり、中村さんの作品は多く目にしていた。東京近郊での発表はほぼ観に行っていたとおもう。そんなこともあって、今回展示されていた作品は実はほとんど既観。懐かしくもあり、また久しぶりにまとめて見るので新鮮でもあり。
今回あらためて観て思ったのは、絵の具の使い方の典型的な方法を使っていないこと。油絵の具には基本的に「こう使えば様になる乗せ方」「誰もが使ってしまう色の組み合わせ」というのがあり、なんだかんだいって結構みんなそれに頼って描いていたりする。中村さんはもともと出来ないからか、意識的に外しているのか、みごとに「上手にみえる絵の具の使い方」に頼らず絵を描いている。下手ともいえるし、ユニークともいえる。ぼくは中村さんの絵の良いところだと思って見ているけれど。
あとは、大きさ。
中村一美さんの展示はじつは常設展示を順に観て行くと最後のほうで、そこに至るまでに何人もの作家の作品を観ていた。そこで多かったのは作品の内容に対してオーバーサイズだな、と感じたもの。for museum、というだけだなあ、と。中村さんの作品に関していえば、あるべくしてある大きさ、とでもいうのか、少なくとも大きいことへの異和は感じなかった。大きさが、その絵の前でしか見たことのない視界を広げる目的にきちんと働いていたからかと。
ただ、作品のサイズって実は展示するハコとの相対で、場所によって見え方が全く変わる。狭くて引き
がとれないギャラリーで見れば絵に包まれるような感覚の大作も、都現美で引きでみれれば大きさの意味は半減してしまう。あの4mの絵などは、ほかのどこにも置けないだろうから、ある意味都現美限定の作品といえるかもしれないが。