東京都美術館で「デ・キリコ展」を見ました

上野の東京都美術館で「デ・キリコ展」を見てきました。「形而上絵画」で知られるジョルジョ・デ・キリコの回顧展。
今回の展覧会ではかなりの作品量が展示されています。絵画だけでなく、彫刻や舞台衣装まで含まれ、かつ行き届いた監修のお陰でこれまでどうにもこうにも捉えどころがなかったデ・キリコの姿がようやく見えてきた感じがあります。
世代把握のために整理すると、デ・キリコの生年は1888年。同年生まれにジョセフ・アルバースヨハネス・イッテン。前年だとクルト・シュヴィッタース、マルク・シャガールマルセル・デュシャン。2歳年下にジョルジョ・モランディ、3歳下にマックス・エルンストといった感じ。そしてモランディやエルンストよりも長く生きて1978年没なのでニューペインティングが発生する頃までとなります。
今回展覧会を見て思ったことのメモ。
シュルレアリスムの画家よりも、背景/図がはっきりしている。図的に風景や室内という場を描いてはいるけれど、絵画的な奥行きはない。
・空間を描くことよりも、図を描くことに執着を感じる(これが背景の部分を単色塗りで処理する一因な気がする)。そしてとにかく図となるイメージに絵的な質感や実在感を与えたい欲を感じる。
デ・キリコの中に「時空を超越したヨーロッパ絵画」的なビジョンがあり、それはイメージ、描法において現在と過去が入り混じったものとして現れる。
・上記を、例えば古典絵画に倣いつつ微妙な生々しさで現在感を混入させたり、逆に現代的な描法で古代ギリシャ的なモチーフを描くといった混ぜ合わせを行うことで生じる超時間的な空間みたいなもの、と考えられはしないか。

デ・キリコ

会期: 2024年4月27日(土)~8月29日(木)
会場: 東京都美術館
https://dechirico.exhibit.jp